第36回定期演奏会
the 36th concert

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平成17年12月4日(日)
りゅーとぴあ コンサートホール

指揮:小林 禎

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プログラム 


第1部 クラシックステージ
組曲「バトル・オブ・ブリテン」 W.ウォルトン作曲   解説
SLEEP E.ウィテカー作曲   解説
アルメニアン ダンス パート1 A.リード作曲   解説

第2部 クラシックステージ
歌劇「魔笛」より W.A.モーツァルト作曲   解説

第3部 ポップスステージ
「華麗なるヒコーキ野郎」のテーマ     解説
Moanin' 〜モーニン     解説
Skylark 〜スカイラーク     解説
ジャパニーズ・グラフィティー] 「時代劇絵巻」     解説

楽曲紹介 


組曲「バトル・オブ・ブリテン」(W.ウォルトン
 W.ウォルトンにとって「リチャード三世」以来十数年ぶりとなる映画音楽として、1968年に作曲されました。
 1940年夏、イギリス上空で繰り広げられた独英両空軍による大空中戦(英国の戦い)を描いた映画「バトル・オブ・ブリテン」の音楽担当として、主演の一人であるローレンス・オリヴィエの推薦で選ばれました。ウォルトン本人は、この映画のスコアを書くことに不安があったようで、友人のM.アーノルドに助力を求めています。アーノルドの助け(録音セッションの指揮や補筆など)もあり、一級品のサウンドトラック録音が完成しましたが、映画会社首脳陣はスコアが彼らの要求するものではないと判断し、ロン・グッドウィンを呼んで新たにスコアを書き直させました。ところが、主演でウォルトンを音楽担当に推薦したローレンス・オリヴィエは、「ウォルトンのスコアを使用しないのなら自分の名前もクレジットから削除せよ」と製作者側に強く迫り、「大空中戦(1940年9月15日)」のシーンにのみ、ウォルトンの曲が残されることになりました。映画のクライマックスであるこのシーンでは、ウォルトンの音楽の他には一切の効果音(エンジン音や機関銃掃射音など)を使用せずに構成されており、非常に印象深いものとなっています。
 ロン・グッドウィンは20年後にこう語っています。
 「すでに録音されていたオリジナルのスコアを聴くチャンスがあったのですが、それは熟成したウォルトン(vintage Walton)でした。まさに私が期待した通りのものだったのです。本当に映画会社はバカじゃないかと思いましたよ。」

SLEEP(E.ウィテカー
 とても眠い曲です!α波があふれんばかりに出ている曲だと思います。こんな紹介だけではよく分からないと思うので、曲のできた経緯を少し。
 「SLEEP」は、作曲者自身が指導する合唱団の団員からの委嘱により、彼女の無くなった両親の想いでのために作曲されました。初演時は依頼者の希望で、アメリカの国民的詩人、ロバート・クロストの詩がテキストに使われていましたが、権利の関係で使えなくなったため、友人でもあるチャールズ・アンソニー・シルヴェストリが新たに詩を書きおろし、現在の曲ができあがったそうです。
 みなさん、曲名は「SLEEP」ですが、眠らないように聴いてくださいね。私も吹きながら眠らないように頑張ります。 (´∀`)

アルメニアン ダンス パート1A.リード
 アルメニアン・ダンスは、リードの代表曲で最も演奏されている曲の一つです。原曲は、母国アルメニアの民謡を生涯をかけて守り抜いた収集家、コミタス・ヴァタベッドのアルメニア民謡からとられています。第1楽章は「パート1」、第2楽章から第4楽章は「パート2」と、2つの曲として別々の出版社から出版されました。パート1(第1楽章)は、5つのアルメニア民謡が使われています。パート2は、「農民の訴え(第2楽章)」、「結婚の歌(第3楽章)」、「ロリの歌(第4楽章)」からなります。

 本日お送りするパート1の5つのそれぞれの曲は、次のようになっています。
   “あんずの木” 曲の開始の部分。3つのオリジナルな歌を組み合わせたもので、表情豊かな曲。
   “やまうずらの歌” コミタスオリジナルの曲。シンプルなメロディの曲で、やまうずらの歩き回る様子を描いています。
   “おーい、僕のナザン” 打楽器が5/8拍子に変わる変拍子の部分。コミタスが合唱用に編曲したもので、少女ナザンに対する若者の愛の歌。
   “アラギャス” ゆっくりした3/4拍子。アルメニアの山の名です。息の長い旋律は山と同様、威厳に満ちています。
   “ゆけ、ゆけ” 最後の2/4拍子。軽快な歌で、エキサイティングに曲を閉じます。

 何年経っても「聴いた感じより音符がいっぱいで楽譜が黒いんだよなぁ」という気持ちはぬぐえませんが(汗)、天国のリードに届くよう、精一杯演奏いたします。どうぞお聴き下さい。

歌劇「魔笛」より(W.A.モーツァルト)
  「オペラ」と聞くと仰々しいイメージを持たれる方が多いと思いますが、「魔笛」は大衆娯楽用に作曲されたオペラです。「フリーメイソン」という秘密結社に所属していたモーツァルトは、同じくフリーメーソンの会員で、俳優兼劇場支配人でもあるシカネーダ一という興行師に依頼されて作曲に着手しました。シガネーダーの興行は一般大衆を対象としているため大変わかり易いのが特徴であり、魔笛の各所には聴衆を楽しませる仕掛けが登場します。また第一幕と第二幕で善悪の役割が入れ替わる等、憶測を生む展開は今日では様々な説があるようです。
 宮廷作曲家を目指していたモーツァルトが、何故シカネーダ一の劇団のために作曲を引き受けたのかは推測の域を出ませんが、作曲の作業はシカネーダーと2人の密接な協力の下にはかどったらしいですから、フリーメーソンの信条や教義を讃えるための作品として作られたという説はあながち間違いではなさそうです。要所要所で三連符や三重奏や三重唱が多く使われていたり、序曲の冒頭や中間部の和音が同じフレーズで3回演奏されるのは、フリーメーソンのシンボリックな数である「3」を象徴的に使っているのだという説もあります。いずれにしてもフリーメーソンとの関わりが演出に大きく影響しているようです。

主要な登場人物
  ザラストロ パミーナをさらって悪者と思われていたが、実は徳の高い高僧。
  タミーノ 主人公。夜の女王に頼まれパミーナを助けに行く。
  夜の女王 自分の娘をさらったザラストロに強い憎しみと復讐の思いを抱いている。
  パミーナ 夜の女王の娘。ザラストロに捕らえられている。
  パパゲーノ 陽気な鳥刺し。タミーノと共にザラストロの城へ向かう。
  パパゲーナ 老婆の姿で現れるが、その正体はパパゲーノの最愛の人。
  モノスタトス ザラストロの部下ではあるが、邪悪なムーア人。パミーナを執拗に狙う。

あらすじ
  第1幕では、王子タミーノは夜の女王に頼まれて、彼女の娘であるパミーナを助けにザラストロのもとへと旅立ちます。
  第2幕では、ザラストロは実は徳の高い高僧で、タミーノとパミーナのために試練を課します。
  見事試練を突破した2人はめでたく結ばれ終演となります。

本日演奏するのは、代表的なアリアを含んだ以下の6曲です。
  (1) 序曲 Adagio - Allegro 変ホ長調 
  (2) Nr. 3 タミーノのアリア 「この絵姿の心奪う美しさは」
    タミーノがパミーナの絵姿を見て、恋に落ちた自分の気持ちを歌った曲。
    ♪〜こんな気持ちを恋と言うのだろうか?そうだ、これこそ愛なのだ!
  (3) Nr.13 モノスタトスのアリア 「誰だって知っているんだ、恋のよろこびは」
    モノスタトスが気を失っているパミーナの前で、パミーナと結ばれたい気持ちを歌った曲。
    ♪〜お月様、ちょっとむこう向いててや、それか目をつぶっててくれ。
  (4) Nr.14 夜の女王のアリア 「地獄の復讐の思いが私の心臓でたぎり立っている」
    夜の女王が復讐をためらうパミーナに対する怒りと、ザラストロへの憎しみを歌った曲。凄まじい音域の曲。
    ♪〜地獄の復讐に私の胸は燃える。
  (5) Nr.17 パミーナのアリア 「ああ、わたしにも感じる、愛のしあわせが」
    パミーナが、声を発してはいけない沈黙の試練中のタミーノに出会うが、タミーノは試練中なのでパミーナと
    口を利かない。それを知らないパミーナの悲しみを歌った曲。
    ♪〜あなたが愛の憧れを感じないなら、私は死んで安らぎを求めるしかない。
  (6) Nr.21 終曲 「太陽の光が夜を追い払った」
    見事試練を突破したタミーノとパミーナを祝福する曲。
    ♪〜清められた2人を讃えよう、2人は夜の闇を切り開いた。


「華麗なるヒコーキ野郎」のテーマ
 1903年にアメリカのライト兄弟が初飛行に成功してから7年後の1910年。英国の新聞社主ローンズリー卿が1万ポンドの懸賞金を出し、ロンドン→パリ間の飛行機での横断レースを開催。各国から名だたる飛行家が集結。果たして優勝は誰の手に?……そして、意外な結末が――。
 イギリス・フランス・イタリア・ドイツ・アメリカ・日本と、六カ国七名の出場者による飛行機レースを描いた娯楽大作のテーマミュージックです。イギリス海軍士官リチャードとアメリカ西部出身のオービルによる社長令嬢争いや、ナンパなフランス人ピエールと超堅物なドイツ人ホルステイン中佐の喧嘩、卑劣漢のイギリス人パーシー卿はワインに下剤を入れたりライバルの飛行機に仕掛けをしたり…こうして文字にするだけでも楽しそうな映画の音楽は、ディキシーを使ったとても楽しい曲となっています。昔、NHK/FMの「ブラスのひびき」という番組のオープニング・テーマとして使われていましたので、耳覚えのある方も多いのではないでしょうか。
 作曲者名でピンときた方もおられると思いますが、映画「バトル・オブ・ブリテン」でW.ウォルトンの代わりに音楽を担当しました。グッドウィンは基本的に陽性の底抜けに明るい音楽を大編成オーケストラにより豪快に鳴らすタイプの人で、単に明るく豪快なだけでなく上質なユーモアに満ちており、英国紳士としての彼の人柄を感じさせます。また、ミリタリー・マーチが得意だったので戦争映画のスコアを多数手がけています。
 両者の雰囲気の違いを楽しんでいただければ幸いです。

Moanin' 〜モーニン
 黒人教会の音楽の影響を強く受けていることから、ジャズでありながらブルース的・ゴスペル的な一面も見せているスローテンポなこの曲の題名 “moan” は「うめき・嘆き」という意味です。とても有名なメロディですので、皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
 1958年に生まれたこの曲が日本に持ち込まれたのは1961年、Art Blakey & The Jazz Messengersが来日し、日本においてのファンキージャズブームの火つけ役にもなりました。日本で旋風が巻き起こった当時、そば屋の出前持ちまでもがこのメロディを口ずさんで出前に来た、という逸話は有名です。
 曲は、何をやってもうまくいかない人生を嘆き、それに対して「そうともさ、神様よ!」と合いの手が入る形ですが、当時のアメリカのスラム街での生活難を音楽に託した想いを感じ取っていただけるでしょうか。

Skylark 〜スカイラーク
 作曲者のホーギー・カーマイケルは、1899年インディアナ州ブルーミントンに生まれ、1930〜1940年代に活躍した作曲家。歌手でもあり、俳優としても活躍していました。ジョージ・ガーシュインやコール・ポーターと並んでアメリカン・ポップスの基本を作ったと言われています。代表的な曲は「Stardust」、「Georgia On My Mind」。「スカイラーク」はジョニー・マーサー(作詞)と、ホーギー・カーマイケル(作曲)が1941年に発表したラヴ・ソングです。

  空飛ぶひばりよ、私の心をお前の翼にのせ いつも夢見るあの美しい谷間に連れていっておくれ
  私のことを待っている まだ見ぬ恋人に逢わせておくれ


美しい旋律と歌詞で、歌手にも楽器奏者にも好かれているスタンダード・ナンバー。本日はトロンボーンソロでお届けします。お楽しみ下さい。

ジャパニーズ・グラフィティー] 「時代劇絵巻」
 日本人の心に響く昭和の名曲の数々を、さまざまな編曲者が吹奏楽のためにアレンジした「ジャパグラ」シリーズ。タイトルの“X”は「テン」と読みます。つまり記念すべき10作目! 今回のテーマは皆さんおなじみの「テレビ時代劇」です。
 歴史上実在した人物を主人公とした作品も多いですが、実際には大衆受けするよう大胆に脚色され、ストーリーは単純明快。結末も見る前から分かっているわけです。しかし、テンポのよいチャンバラ劇、正義は必ずという勧善懲悪のストーリーは爽快で、見終わった後は不思議とカタルシス(すっきりした感じ)を感じますよね。また、長寿番組が多いのは役者さんやストーリーだけが理由ではありません。そうです。魅力的かつ印象的なテーマ曲があるからこそではないでしょうか。
 そんな耳になじんだ「時代劇」の名旋律を5曲メドレーでお送りします。
 ボレロのリズムに乗せたテーマ曲で知られる「水戸黄門」の「ああ人生に涙あり」、「銭形平次」のテーマ、時代劇には珍しく明るく西部劇調(?)の「大江戸捜査網」のテーマ、原曲は口笛の「大岡越前」のテーマ、そして、「暴れん坊将軍」の旧オープニングテーマです。ユーフォニウム、ホルン、サックスなどの演奏に注目してください。